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総評・コメント

総評審査委員長 デザインルームヒロセ 代表 田中智之

田中智之氏

今回の応募作品は、前回までよりも全体のデザイン・仕上げの質がとても高く、ボタンの神髄が見られた様に思えます。モダンなボタン、クラシックなボタン等、いろんなイメージの作品が幅広く出品され、今後のボタンの可能性を強く感じた審査会となりました。

全体に見ますと、今回はピカピカのボタンが少ない印象です。ちょっとレトロな感じのボタンが多かったように思います。また、シリコーンのソフト感やアルミの軽さなど材料の特性を活かした新しい素材使いや、立体的に組み込まれたデザイン・手法による貝ボタンの新しい方向性など、目を見張る完成度の高い作品が多く、今まで以上にボタンの存在感が強く印象に残ったコンテストでした。

日本ボタン大賞を獲られた塩谷さんの作品も、ちょっと尾形光琳などの琳派の作風のようで、塗りに金箔や丹を使って蒔き絵風にした江戸時代を思わせる作品です。
日本の伝統工芸である蒔絵の技法を駆使し、和の匠をボタンに表現した作品です。深い黒と浮き出た金箔の抜群のコントラスト、それにプラスした繊細な朱の入れ方など、漆塗りの技を良く勉強したバランスの良い仕上がり、厚みのあるイメージとは逆に薄く軽い仕上げなど、ボタンの最高峰にふさわしいでき栄えでした。

一方、トレンド賞の作品はアルミ製の超軽量ボタンで、1円玉2.5個分ぐらいの軽さしかありません。ボタンでこういうこともできるのだという、ひとつの成果として選ばせていただきました。
製作者の高橋さんは尾原審査委員特別賞も獲られていて、ひとりの方が2つの優秀賞を受賞されるというのは初めてなんですが、今回は特別にトレンド賞に選ばせていただきました。

もうひとつ驚いたのは、日本釦服飾手芸卸協同組合連合会特別賞を受賞された柳さんの、シリコーンでできたカメオ風ボタンです。シリコーン素材の可能性をあらためて感じました。意外なもので意外なものができたという感じです。

田中智之審査委員長特別賞は、日本の美と優しさが上手く表現され、台の部分のマットな黒と貝のシェルホワイトのカラーコントラストも絶妙です。牡丹の花がつぼみから見事に開花したさまがひしひし伝わってきます。

ECO賞は、廃材を現代風にアレンジ、エスニックカラーの塗装・サイドに銀をあしらった繊細さなど、従来のリサイクルの発想を変えたポップで可愛いい釦に仕上がっていた点がとてもよかったです。

私も長くボタン業界に携わっていますが、ボタンでこんなことができるんだという、日本のボタンの技術の高さ、深さをあらためて思い知らされた審査会でした。また2年後になりますが、次はどんな作品が出てくるのか楽しみでなりません。
「ボタンと頭は使いよう」です。ボタンは必ずしもボタンとして使う必要はありません。少し考え方を変えて、アクセサリーやブローチとして使えるボタンがほんとうはけっこうたくさんあったと思います。広い視野で用途を考えれば、ボタンはいろんな分野で使われていくと思います。

三原道子審査委員特別賞

三原道子氏

神秘な色合い(インクジェットで色付け)の貝釦で、本物の貝と見間違えるくらい素晴らしい出来栄えです。今まで以上に付ける服種の幅が広がることと思います。

上田安子服飾専門学校 校長 三原道子

早川雅明審査委員特別賞

早川雅明氏

作者はこの作品のデザインコンセプトを絨毯柄にラインストーンを施し、オリエンタル調で創作したと述べている。
創り上げた作品からは単にオリエンタルチックに止まらず、はるかシルクロードを通じたエキゾチック観を想い漂う表現である。
粘土素材を手作り感でスクェアなボタン形状を絨毯柄の基本模様とそのクラシックなカラーストーンで 繊細にもひとつ、ひとつの模様を異なる表情や形をラインストーンでエレガンスに施し、立体構成を面や線状に流れ包む造形美にまとめた作品である。

今シーズン、90年代のカジュアルなポップファッションが流行る一方、40年代のヨーロピアン・エレガンスがこの秋に漂うシーズンにあって、この作品はクチュールエレガンスな表現のひとつとして、ここにファッションのクラシック・エレガンスなモチーフの一つに輝く作品として選んだ。
※作者は経歴資料によると、台湾高雄市在住で(株)アイリス台湾に入社11年のスタッフとの由。職場のコメントには大きな体格(身長180cm、体重100kg)ながら創造力がたいへん豊との旨。コメント通り、のびやかな作品造りへの着眼の中に、センシティブなものつくりがこの作品を生んだものと観た。

成安造形大学 名誉教授 早川雅明

尾原久永審査委員特別賞

尾原久永氏

髙橋一彦様、審査員特別賞受賞おめでとうございます。
審査に対する私の一つの基準として「ストーリー性」があります。
この作品は、「エイジング」という見事なストーリーがあり、使い込むことによる「艶」や「色」の変化を楽しめ、手入れを行う楽しみを持っている作品です。男性特有の「モノへの価値観」を満足させる逸品だと高く評価しました。

株式会社尾原デザインスタジオ 代表 尾原久永

大賞受賞コメント(株)アイリス 塩谷純司氏

塩谷純司氏

このたびは大変名誉ある日本ボタン大賞を受賞できて驚きと感謝の気持ちで一杯です。
受賞したボタンは黒をベースに金箔を配して日本風に仕上げようと思い作りましたが、黒と金箔だけでは色のバランスに納得がいかずに朱色を加えてみたものの、朱色の入り方がうまく散らせず色々な方法で何度も試した結果、息を吹きかけ朱色を吹き飛ばして散らす事で納得のいく朱色の入り方になり、蒔絵のように仕上がりました。
普段は素材作りをしている自分にとって励みとなる大変嬉しい受賞でした。
本当にありがとうございました。

審査委員

審査委員

左から:経済産業省 商務情報政策局 日用品室 室長 高橋正義様 / 日本釦服飾手芸卸協同組合連合会 会長 大洞恵之輔氏 / 審査委員長 田中智之氏 / 審査委員 三原道子氏 / 審査委員 早川雅明氏 / 審査委員 尾原久永氏

主催者

主催者

左から:一般社団法人日本釦協会 理事長 斧原秀夫 / 副理事長 大隅洋 / 副理事長 堤嘉章 / 専務理事 杉若直樹

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